喜歌劇「天国と地獄」序曲

千代田区オーケストラフェスティバルで演奏するこの「天国と地獄(原題:地獄のオルフェ)」は、オッフェンバックの作品の中でも最も親しまれているまさに代表作。タイトルはご存知なくても皆さんどこかで必ず聞いたことのある曲だと思います。有名な「地獄のギャロップ」の部分は運動会のBGMをはじめ、「カステラ一番、電話は二番…」のCMといえばピンと来るのではないでしょうか。

オッフェンバックはこの「天国と地獄」で「オペレッタ」というジャンル自体を確立し、同時に彼は一躍「オペレッタ作曲者」としての名を上げました。なんと、初演から連続228回公演を記録したという、凄まじいスマッシュヒットだったのです!

えっ?こんな話だったの?

実はこの作品、ギリシャ神話を元ネタに、徹底的にパロディに仕上げた作品です。グルックの『オルフェオとエウリディーチェ』(ギリシア神話のオルペウスの悲劇)という作品をもとに、完全な娯楽作品として作り上げられました。

ストーリーは、元ネタの「死んだ妻を愛するあまり、地獄まで赴いて連れ戻す」という感動的な話を、こともあろうに、W不倫の末に妻を殺し遊びほうけていた夫オルフェが、世間の声に押されて、しょうがないから天国経由で地獄に妻を迎えに行く…というドタバタストーリー。これには当時のフランス社会の抱えていた偽善性や矛盾という世相を風刺していると言われています。

序曲にはギャロップのほかにも素敵なメロディーが散りばめられており、楽しんでいただけると思います。クラリネットやヴァイオリンのソロにもご注目ください!

音楽コラム一覧に戻る